This is KANSOU

漫画を読んだり、アニメを観たりしたときの感想をアツいうちにしたためる

東京女子図鑑を見た

Amazonプライムビデオでドラマ「東京女子図鑑」を見ました。

なんか聞き覚えあるなーって思ったら一時期流行った東京カレンダーのやつの映像化だったのね。あのコラムは、女の人生の区切りを"住む土地"っていう観点から切り取った感じのものだったかなと思います。三茶→恵比寿に引っ越すあたりとか印象的で流石東京カレンダーなんだよなーなどと喜び勇んで読んでいたのを思い出しました。

 

■所感

主人公の綾さん(演:水川あさみ)よく考えなくても美人だし努力家だし、課題に当たるごとに結果を出してるし、有能and有能and有能ですよね?

それでも満たされないものがあるっていう嫉妬の瞬間が去来するとき、剥き出しの空虚がこちらを見ているような怖さを感じました。

あと東京生まれ東京育ちのお嬢様方が無敵すぎてびっくりしました。

 

■満たされない怖さ

それにしても手に入れても手に入れてもまだ足りない恐ろしさよ。結局、主人公は自分の価値を他人からの羨望で定義するところから動かないから、他の人が自分より少しでも幸せそうにしていると自分の幸せ状態が揺らいでしまうわけです。そうしたら、他の人の幸せ状態を自分にトレース+αして、自分の方がその人より上にならないと幸せになれない。でもって、色々あった後地元に帰って大泣きするシーンに繋がります。昔進路指導してくれた先生と偶然出会って、「(羨ましがられる人になりたいっていう)夢を叶えて偉いねえ」「みんながこの記事(雑誌に載った主人公)を見ていいなーって目を輝かせてるよお」と言われてしまうのです。自分の夢が叶った実感も何も無いまま、幸せの見本として過去の自分を見せつけられてしまう。空虚な自分を鏡写しにしても空虚なんですよね。しかもその瞬間は過ぎ去ってしまっており……。

最終話ラストシーンまで、有り得たかもしれない自分の姿(という形をとった羨望そのもの)に嫉妬する。すさまじい問いかけの仕方だなあと思いました。

あと回想で出てきたシルバニアファミリーと、女の子は他人と自分を比べて足並み揃えて大きくなっていくっていう台詞のあたり、とても良かったです。幸せの象徴としてのシルバニアファミリー。主人公の手にあったものは紛い物で、しかもゾウでした。ゾウって……。

 

■本当にそれは隣の芝生なのか?

隣の芝生は青いとは言いますが、掲げられた大きな問題の本質は青さそのものの定義、ひいては芝生そのものの定義ではではないでしょうか。

自分が己の幸せ度合いを己で測定出来なければ、他人の価値観によって測ることになります。それは常に渇望を生むのです。こわいね。

 

 

頑張り屋さんの主人公に、心の底から幸せだと言える日が来ることを願って。